さて、イスラーム経済とは、「イスラームという宗教の教義に準拠した経済思想・実践」である。そこで、誰もが、イスラームという宗教には、経済に関する体系的で具体的な言説があるに違いないと思う。ところが、体系的なイスラームの経済プログラムはない。

こう言うと、ほとんどの日本人は、肩透かしを食ったような気になるに違いない。イスラーム経済を論じるのに、そもそもイスラームに経済のプログラムがないとは何だ、というわけである。しかし、この事実はイスラーム経済の「本質」にとって決定的に重要である。

参考文献：
『イスラム経済論―イスラムの経済倫理』　第一部第３章：イスラム金融をどう理解するか　　加藤博（書籍工房早山、2010年）

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★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序　もうひとつの「市場と公正」　Vol.1　イスラーム経済社会の構造（理論編）』を構成している「知識カード」の一枚です。

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