人間は本性上社会的動物である

第二の特徴は、イスラームの経済にかかわるすべては、ウンマ(信徒共同体)と結びつけられるということである。

アリストテレスは『政治学』の冒頭で、「人間は本性上ポリス的動物である」と述べた。現在のすべての社会科学は、このアリストテレスの言葉を前提にしているといっても過言ではない。イスラームの思想家は、そこでのポリス(都市国家)という古典ギリシアの概念を「社会」として一般化し、「人間は本性上社会的動物である」と言い換えて社会論を展開した。

イスラーム文明がギリシア古代文化を継承したのみならず、それを発展させたことは、文明史研究において、今や定説である。

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第二部第3章:所有観念  加藤博(書籍工房早山、2010年)
政治学(岩波文庫)』  アリストテレス 山本光雄訳(岩波書店、2000年)
文明における科学』  伊東俊太郎(勁草書房、1976年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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