労働による所有権の発生

土地を取り上げよう。個人は、それを労働によって利用し、そこから果実としての生産物を得る限りにおいて、土地を排他的に占有する権利、つまり「所有権」を与えられる。*

こうして、個人の土地に対する「所有権」も、土地からの利益も、土地に付加された労働との関係から規定される。

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第二部第3章:所有観念  加藤博(書籍工房早山、2010年)
イスラーム経済論』  M.バーキルッ=サドル 黒田壽郎訳(未知谷、1993年)

* 14世紀の後半に生きたアラブの思想家、イブン・ハルドゥーン(1332~1406年)の経済論については後述するが、その骨格は、次の三つの命題として整理できる。(1)富と所得の源泉は労働である。(2)富と所得の規模は協業の度合いによる。(3)協業の度合いは人口規模と技術水準に基づく。


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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