近代経済学は人から出発するが、そこでは、生産手段の個人所有は経済を支える根本概念と考えられている。
これに対して、神から出発するイスラーム経済にあっては、資本であれ労働であれ、生産手段のすべては神の所有のもとにある。
また、生産手段を使って生産される財も、それが資本財であれ消費財であれ、すべて神の所有のもとにある。それらは、迂回生産過程をたどれば、結局のところ、天然資源に労働を付加することによって得られた生産物だからである。
参考文献:
『イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第二部第3章:所有観念 加藤博(書籍工房早山、2010年)
『イスラーム経済論』 M.バーキルッ=サドル 黒田壽郎訳(未知谷、1993年)
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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