市場経済とは、農村活動・屋台店・工房ないしは作業場・商店・取引所・銀行・大市(foires)、そして当然ながら市(marches)と結びついた、明瞭で「透明」でさえある生産および交換のメカニズムである。
つまり、それは市場の価格決定メカニズムであり、ポランニーの交換の世界、ヒックスの市場経済の世界である。
そして、ブローデルは、ポランニーによる「形式的な」経済学批判と同じく、近代経済学がその出発点からこの把握しやすい世界に、つまり「ほかのもろもろの光景を排除しつつ、とくに恵まれたひとつの光景[ヨーロッパの市場経済]のなかに閉じこもった」と批判する。
参考文献:
『物質文明・経済・資本主義』 フェルナン・ブローデル 村上光彦ほか訳、(みすず書房、1985,1986/88,1995/99年)
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。
◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック