資本主義とは、 視界や活動領域の広大さ、時間の慌ただしい流れ、そのうえにある物質文明と市場経済の拘束を嫌い打ち破る「力」、過去よりは未来を好み、貨幣的富というよりは変化とリスクと冒険を好む性向、などを特徴とする変転きわまりない現代の市場社会の別称である。
ブローデルにとって、資本主義は市場経済の延長上に形成されたものの、市場経済の拘束を嫌い、打ち破る、複合的な、とりわけ政治と結びついた社会システムである。
その結果、ブローデルによれば、「(資本主義は)交換の基礎を、たがいに求め合う需要におくのと同程度あるいはそれ以上に、力関係におく権力の蓄積であり、避けられぬものか否かは別として、他に多くあるのと同様な一つの社会的寄生物なのである」。
参考文献:
『物質文明・経済・資本主義』 フェルナン・ブローデル 村上光彦ほか訳、(みすず書房、1985,1986/88,1995/99年)
『市場社会のブラックホール―宗教経済学序説』 佐藤光(東洋経済新報社、1990年)
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