イスラーム世界には、頻繁な人と物の移動と交流によって、当時の最新の技術や情報が集積された。そのため、科学が高度に発達し、その性格は実学的であった。イブン・ハルドゥーンは、工業を「技術」と呼んでいる(第一巻第8章)。*
参考文献:
『イスラム世界の経済史』 第二部第1章第2節:宗教・文化 加藤博(NTT出版、2005年)
『文明における科学』 伊東俊太郎(勁草書房、1976年)
『イスラム技術の歴史』 アフマド・Y・アルハサン、ドナルド・R・ヒル 多田 博一ほか訳(平凡社、1999年)
* 商業にかかわる羅針盤、航海術などはもちろんのこと。他に、たとえばイスラームでは医学も発達していた。10世紀から11世紀にかけ活躍したイブン・シーナが著わした『医学典範』は、アラビア医学にギリシアのヒポクラテスやローマのガレノスなどの医学を加え、さらにインド医学も取り入れて、完成させた大著。ヨーロッパの大学で17世紀まで医学部の教科書として使われた。[編集部]
□参照知識カード:
もしも「西欧近代」が普遍的モデルでないとしたら 第一巻第8章
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。
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