イスラーム世界での「世俗化」の最大の特徴、それは、「私」と「公」は分離すべきであるとする「世俗主義」への強い反発である。つまり、私と公、あるいは宗教と世俗とを峻別すること自体に反発したのである。*
これに対して、イスラームは原理的に、万物の創造主である神(アッラー)の唯一絶対性の主張に立ち、「聖」と「俗」の一致を説く。言葉を換えれば、宗教と世俗の一致が主張されている。たしかに、この指摘に誤りはない。しかし、次の二つの事実に注意を払うべきである。
参考文献:
『増補新版 イスラームの構造 タウヒード・シャリーア・ウンマ』 黒田寿郎(書肆心水、2016年)
* とりわけこの反発は、1970年代後半以降のイスラーム復興の流れの中で、多くの宗教的ならびに政治的な論争と対立を産み出すことになる。
関連知識カード/章説明他: アッラー
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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