管理可能な不確実性(リスク)としてのリバー

この問題を考える際、参考になるのは、不確実性の経済学におけるリスクと危険の区別である。

不確実性の経済学では、不確実性の概念を使って、リスクと「真の」危険とを区別する。「その確率分布を推測できる不確実性」がリスクであり、「その確率分布を推測することが不可能な不確実性」が「真の」危険である。

このうち、リスクは管理可能な不確実性であり、実際、現在の国際金融市場では、リスクヘッジという形で、利益の源泉にさえなっている。つまり、リバーはリスクと類似の概念であり、リバーの管理は可能である、と考えられている。

そうであるならば、理論的にみて、リバーが原則的に禁止されても、イスラーム法の手続きに則った法解釈によって、それを管理し、そこから利子に相当する利益を合法的に取得することは可能であろう。

参考文献:
リスクの経済学―情報と社会風土』  酒井泰弘 (有斐閣、1996年)
ケインズ対フランク・ナイト』  酒井泰弘(ミネルヴァ書房、2015年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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