中東を中心としたイスラーム世界は、水の少ない空間である。水の希少性は、住民の集住をもたらした。
イスラーム世界は人が集住する都市を核とした社会であり、イスラーム世界の都市は、ヨーロッパの都市と比較して、大きな規模をもっていた。そして、都市には商人文化が栄えた。
イスラーム経済の基本は、都市間を行き交うひと、もの、かね、情報の流通と交換であり、都市での旺盛な消費であった。
つまり、イスラーム経済は、外部経済、とりわけネットワーク外部性を強みとしていた。しかし、それは同時に、イスラーム経済の弱みでもあった。
参考文献:
『イスラム世界の経済史』 第二部第1章第1節:生態系・地理的立地 加藤博(NTT出版、2005年)
『オスマン帝国治下のアラブ社会(世界史リブレット)』 長谷部史彦(山川出版社、2017年)
『イスタンブル交易圏とイラン:世界経済における近代中東の交易ネットワーク』 坂本勉(慶應義塾大学出版会、2015年)
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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