利子はイスラームの教えで禁止されるのか?(その2)

不当利得禁止の教義と利子の関係についてのもう1つの解釈は、利子と名の付くあらゆるものをイスラームが禁じる不当利得だとして、一律に利子を禁止すべきだというものである。ムハンマド・アブドゥは、この考え方にもとづいて郵便貯金の利息は受け取ってはならないと判断したのである。イスラーム復興運動の担い手たちは、この2番目の解釈を支持し、のちに登場したイスラーム金融にもこの考え方が反映されている。

参考文献:
Emad H. Khalil and Abdulkader Thomas “The Modern Debate over Riba in Egypt,” in Abdulkader Thomas, ed. Interest in Islamic Economics: Understanding Riba. London; New York: Routledge, pp. 69-95, 2006.
現代イスラーム金融論』第2章:リバー論の系譜  長岡慎介(名古屋大学出版会、2011年)
「徴利論2(リバー)」小杉泰 『歴史学事典1 交換と消費』  川北稔編(弘文堂、1994年)
21世紀の世界政治(5) イスラーム世界』第4章:イスラーム復興のダイナミズム  小杉泰(筑摩書房、1998年)

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



【紙派のかたはこちらをどうぞ】

◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック