イスラーム文明の特徴の4つめは、生態環境である。
アラビア半島は、乾燥オアシス地帯であり、広大な沙漠が広がっていた。そこでは遊牧文化が栄え、沙漠を海のように横断し、遠く離れた人や場所どうしを頻繁に行き来する高い移動性が見られた。この地で生まれたイスラームにも、特有の生態環境が育んだ移動性が大いに反映され、農民や都市民、漁民や商人といった多様な人々を容易に結びつける柔軟かつ広域的な文明システムが形成されていった。
参考文献:
『イスラーム 文明と国家の形成』第3章:文明の形―イスラーム的特質 小杉泰(京都大学学術出版会、2011年)
『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.3 基本概念・基礎用語編』第2章第2節:生態・立地環境 加藤博(詩想舎、2020年)
□関連知識カード:
イスラーム世界における水の希少性
砂漠とモンゴル平原
オアシスは農業社会
中東は都市文明の発祥地:高度な都市社会
砂漠が作り出す開放空間
イスラーム世界は三大陸の結節点
イスラーム世界はネットワ-ク社会
★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。
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