オアシスは農業社会

モンゴル平原の場合、川や湖がないうえに、夜と昼の温度差によって生じた露は草によって吸われてしまう。しかし、砂漠の場合、たしかに雨は降らないものの、夜と昼の温度差によって生じた露が、地表を通過し、地下に貯えられる。

この貯えられた水を含む地下水が地表に現れた場所、それが通常われわれが言うところのオアシスである。つまり、オアシスは水のある世界である。その結果、モンゴル平原の住民は、衣食住のすべてにおいて飼育している家畜に頼っているが、オアシスの場合、そこは人びとが集まる「市場」であって、砂漠の住民は家畜の皮のテントに住むとしても、衣はオアシスの「市場」で商人から購入し、食の多くはオアシスの農民から得ている。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第1章第1節:生態系・地理的立地  加藤博(NTT出版、2005年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


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