10世紀以降のアッバース朝におけるカリフ権力の衰えは、カリフによって保たれたウンマ(イスラーム信徒共同体)の統一性を揺るがすことになる。
そこで問題となったのは、もはやウンマの統一性を前提とした指導者(カリフ)の資質、資格など理念的議論ではなく、ウンマにおける複数の指導者(カリフ、スルタン、アミールなどと呼ばれた)の現実における並立だった。
参考文献:
『文明としてのイスラム―多元的社会叙述の試み』 第4章:権力 加藤博(東京大学出版会、1995年)
『イスラームの国家と王権』 佐藤次高(岩波書店、2004年)
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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