国民国家システムへの移行

イスラーム世界の国民国家群への編成は、困難をともなった。前近代のイスラーム統治システムは、近代ヨーロッパの国民国家システムと性格をまったく異にしたからである。

国民国家システムが領土を前提に、住民を世俗的な民族単位で直接的に支配するのに対して、イスラーム統治システムは、固有の領土を前提にせず、住民を宗教・宗派単位で間接的に支配していた。

実際、それまで巨大なイスラーム王朝の統治下に置かれていたトルコ、アラブ諸国、イランは、異なる歴史伝統を持っていた。

参考文献:
イスラーム世界の危機と改革(世界史リブレット) 』  加藤博(山川出版社、1997年)
トルコ近現代史―イスラム国家から国民国家へ』  新井政美(みすず書房、2001年)

 


★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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