イスラームにおける互酬的社会観

マスラハに含意されているのは、イスラームにおける互酬的社会観である。互酬とは、社会的に関係づけられた人間の間における双務的なギブ・アンド・テイクの関係である。

イスラームにおける互酬的社会観は一方で、喜捨(ザカート、サダカ)や寄進(ワクフ)などにみられる水平的扶助関係として、他方では、有力者のまわりに形成されるパトロン・クライアント間の垂直的保護関係(ヒマーヤ)として観察された。

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第二部第4章:公正観  加藤博(書籍工房早山、2010年)
経済の文明史―ポランニー経済学のエッセンス』  K.ポランニー 玉野井芳郎・平野健一郎編訳(日本経済新聞社、1975年)

■関連知識カード/章説明他:
ザカート
ヒマーヤ
ワクフ
互酬、再配分、交換 その1
互酬、再配分、交換 その2


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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