そのうえで、ポランニーは、このように歴史的文脈を考慮せず、社会から独立した市場経済を価格メカニズムとして理論化し、その展開のなかで経済社会を説明しようとする近代経済学を「形式的な」経済学と呼び、これに対して、市場経済のみならず「社会に埋め込まれた経済」をも対象とする経済学の必要を唱え、それを「実体的な」経済学と呼んだ。
ここで、「実体的な」経済学とは、「人間とその環境との間の、制度化された相互作用のプロセス」、つまり、「広義に解された」経済のことである。
参考文献:
『経済の文明史―ポランニー経済学のエッセンス』 K.ポランニー 玉野井芳郎・平野健一郎編訳(日本経済新聞社、1975年)
『人間の経済 Ⅰ、Ⅱ (岩波現代選書)』 K.ポランニー(岩波書店、1980年)
関連知識カード/章説明他: 社会的動物としての人間
「形式的な」経済学と「実体的な」経済学
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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