経済発展と制度

市場経済が依存する非市場的外部条件を「制度」と言い換えて、先の市場経済のパラドックスの克服をめざしたのが制度学派である。

制度は、そのなかで営まれる経済をルーティーン化し、継続させる枠組みである。フランスの社会学者、ヴァラニャックは「労働」を「活動」と区別し、「労働」の「活動」との違いを、繰り返しの有無に求めた。つまり、活動の繰り返しが「管理された時間」の流れを生みだし、そのなかで活動は制度化され習慣化されたる労働となるというのである。それゆえに、長い「文明史において労働が活動より優位に立ったのは比較的最近の現象に属する」* 。

参考文献:
エネルギーの征服―成熟と喪失の文明史』  A. ヴァラニャック 蔵持不三也訳(新泉社、1979年)
文明史の経済学―財産権・国家・イデオロギー』  ダグラス・C・ノース 中島正人訳(春秋社、1989年)
制度・制度変化・経済成果』  ダグラス・C・ノース 竹下公視訳(晃洋書房、1994年)
経済史の構造と変化』  ダグラス・C・ノース 大野一訳(日経BPクラシックス、2013年)
西欧世界の勃興―新しい経済史の試み』  D.C.ノース、R.P.トマス 速水融ほか訳(ミネルヴァ書房、1980年)

* 引用:『エネルギーの征服―成熟と喪失の文明史』  A. ヴァラニャック 蔵持不三也訳(新泉社、1979年)


 

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