制度学派

19世紀末から20世紀初めにかけて米国で形成された経済学の一学派。

当時の米国は南北戦争後の工業化による経済発展を経験していたが、不況や巨大資本による土地投機、それらに対する労働者や農民の組織的反抗など、多様な社会問題を抱えていた。これを背景に、限界効用説など抽象化された理論だけでは問題が解決できないとし、社会改良を実現するには、経済現象を人間の社会的行動により広く普及した社会的慣習の問題としてとらえるべきことを主張した。すなわち、慣習的思考様式や家族・株式会社・労働組合・国家などの活動体を「制度」ととらえ、こうした制度の累積的進化過程を経済現象として分析しようとした。

『有閑階級の理論』のT.ヴェブレン、『制度派経済学』のJ.コモンズ、『景気循環 I.問題とその設定』のW.C.ミッチェルらが代表的。

参考文献:
文明史の経済学―財産権・国家・イデオロギー』  ダグラス・C・ノース 中島正人訳(春秋社、1989年)
制度・制度変化・経済成果』  ダグラス・C・ノース 竹下公視訳(晃洋書房、1994年)
経済史の構造と変化(日経BPクラシックス)』  ダグラス・C・ノース 大野一訳(日経BP、2013年)

■関連知識カード/章説明他:
経済発展と制度


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


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