もっとも、イスラーム法において、契約についての一般的理論があるわけではない。
現実の商業契約の多くは、イスラーム法ではなく、商人の間の慣習(ウルフ)によって結ばれていたからである。
イスラーム法は、ただ当事者たちの合意、当事者たちの法的資格、内容、約因という四つの商業契約における与件を定めるだけである。
そのほか、訴訟を想定し、第五の与件として、資格ある証人の存在を定めた。
参考文献:
『イスラム世界の経済史』 第二部第2章第2節:イスラムにおける契約観 加藤博(NTT出版、2005年)
『イスラム法通史』 堀井聡江(山川出版社、2004年)
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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