イジュティハード その2

イジュティハードは、時代により社会の閉塞感が強いときに、社会を革新するため、原理と慣行を見直す手段として使われた。ここで、原理とはコーランとスンナの無謬性を、慣行とは現実社会での必要性を概ね意味していた。したがってイジュティハードは、「社会福祉」とも「公共福祉」とも訳されるマスラハや「慣行」と訳されるウルフと親和性を持つ法手続きである。

たとえば、近代イスラーム思想の出発点である19世紀後半における近代イスラーム改革の指導者であったムハンマド・アブドゥが強調したのがイジュティハードであった。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第3章第3節:公共空間としての市場  加藤博(NTT出版、2005年)
イスラム法通史』  堀井聡江(山川出版社、2004年)

■関連知識カード/章説明他:
イスラームで個の欲望と共同体の福祉を橋渡すのは何か


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


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