ワクフとは何か

ワクフとは、アラビア語で、土地や建物、お金といった自らの財産の所有権を停止する、あるいは放棄することを意味する言葉である。ワクフでは、まず、財産を持っている人物(ワクフ設定者と言う)が、その所有権をそのまま放棄するか、持っているお金を使って建物などを作った後でその所有権を手放す。

そして、その財産をこれから先、どのように使用するか、財産から収益が出たときにそれをどのように分配するかを指定した上で、その財産を管財人に預ける。この一連のプロセスをワクフの設定と呼ぶ。

参考文献:
「公益・福祉制度―ワクフ」岩武昭男 『文明としてのイスラーム』  後藤明編(栄光教育文化研究所、1994年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.3 基本概念・基礎用語編』【基本用語】  加藤博(詩想舎、2020年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』第7章第1節:ワクフ制度/第7章第2節:ワクフ制度の独自性  加藤博(詩想舎、2020年)

□関連知識カード:
 ワクフ
 慈善ワクフと家族ワクフ
 ワクフ制度の特徴:その4 所有権の凍結
 ワクフ制度の特徴:その5 私的欲望と公的福祉の両立

 

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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