世界各国で米国への好感度や指導部への信頼が急速に低下する『米国離れ』。ピュー・リサーチ・センターなどの最新世論調査からは、この現象が一時的な政権批判にとどまらず、より根深い不信へと変化している実態が浮かび上がります。
「支持率7%」という衝撃
ウクライナで米国の指導部を「支持する」人は、2026年4月の調査でわずか7%。米国が支援を強めた2022年は66%でした。極端な例ですが、世界全体でも同じ向きの動きが出ています。
・Ukrainians Sour on U.S. Leadership https://news.gallup.com/poll/711992/ukrainians-sour-washington-views-war-stabilize.aspx
数字で見る「米国離れ」
まず全体像です。米ピュー・リサーチ・センターの36か国調査(6月公表)では、米国に好意的な人は中央値37%、そうでない人は57%。トランプ大統領を国際問題で信頼する人は23%でした。前年と比べられる24か国のうち15か国で下がり、上がったのはメキシコだけです。98か国の民主主義認識指数(5月公表)でも、各国への見方を示す「純評価」(好意的−否定的)は、米国が2024年の+22から2026年の−16へ。中国は+7で、米国は初めて中国とロシア(−11)の両方を下回りました。では、同盟国はどう見ているのでしょう。
・Trump Gets Negative Reviews Internationally as Fewer Say U.S. Is a Reliable Partner(Pew、2026/6/23) https://www.pewresearch.org/global/2026/06/23/trump-gets-negative-reviews-internationally-as-fewer-say-u-s-is-a-reliable-partner/
いちばん近い友人たちの目
欧州外交評議会(ECFR)が欧州15か国の約1万9千人に聞いた調査(5月実施、6月公表)では、米国を「同盟国」とみる人は11%。6か月前は16%、2024年11月は22%でした。25%は「ライバルまたは敵対者」とみています。
・Just 1 in 10 Europeans now view the U.S. as an ally, according to new poll(CBS News、ECFR調査、2026/6/10) https://www.cbsnews.com/news/europe-us-ally-european-council-on-foreign-relations-poll/
日本も同じ流れです。時事通信の月次世論調査では、米国を好きな国に挙げた人が2026年4月に29.2%。トランプ第2期の発足後、初めて30%を下回りました。バイデン政権期の2024年は毎月40%を超えていました。ピューの日本(好意的50%)とは聞き方が違うため数字は並べられませんが、下がる向きは同じです。
・FOCUS: Japanese Favorability toward U.S. Falls below 30 Pct(Adnkronos、時事通信の調査、2026/5/19) https://english.adnkronos.com/2026/05/19/focus-japanese-favorability-toward-u-s-falls-below-30-pct/
・ピュー調査:36か国での米国とトランプ氏への見方

20年の波の中で
ここで時系列を確認してみます。英仏独は2002年に6〜7割が好意的でした。イラク戦争の2003年に仏は62%から42%、独は60%から45%へ急落。オバマ政権の2009年は仏75%、独64%に回復し、バイデン政権の2023年も独57%まで戻りました。大統領が替わるたびに上下してきたのです。ところが2026年は、仏27%、独27%、伊31%、加33%、英41%、日本50%。仏と伊は、確認できた年の中で最低です。
・西欧での米大統領への信頼の推移

先進国と新興国の違い
次に先進国と新興国とでちがいがあるのかを見ていきましょう。
G7は日本を除いて低く、カナダでは米国を「信頼できるパートナー」とみる人が2022年の83%から35%に急落しました。一方、ケニアとナイジェリアは63%と高めです。ただし単純な豊かさの差ではありません。ナイジェリアも南アフリカも前年から15ポイント下がり、中所得国17か国のうち16か国で「米国は内政に干渉している」が過半でした。G7は「同盟国なのに」という失望、途上国は「大国が口を出す」という警戒と、不満の中身が違います。
・ピュー調査:世界各国の米国への好感度

一過性か、構造的か
さてここからが本題です。一過性とみる材料から。ピューの8月の分析では、米国への好感度と大統領への信頼度が、国ごとにほぼ同じ動きをするようになりました。人々は米国と大統領を「ひとまとめ」で見ているため、大統領が替われば戻る余地がある、という見方です。
・米国への好感度と大統領への信頼度の連動(国別の相関の推移)

一方、構造的とみる材料もあります。「米国は自国のような国の利益を考えているか」で、ドイツは60%から23%へ。イラク戦争の頃と同じか、それ以下です。「米国は国民の自由を尊重するか」も、比較できる13か国中12か国で、2021年より2けた下がりました。欧州で「同盟国」と呼ぶ人が1年半で半分になったことも、単なる人気の波とは言いにくい動きです。
・「米国は国民の自由を尊重している」と答える人の減少

米国への評価低下は単なる一時的な政権批判にとどまるのか、それとも世界秩序の再編を告げる地殻変動なのか。その真価は、今後の各国の外交戦略と米国の歩む道によって試されることになります。
■関連URL
1. 「米国信頼していない」76% 外交姿勢響く、日欧で印象が悪化(共同通信、Web東奥、2026年6月23日)
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/2302086
日本語で読める最も手軽な入口です。日本で米国に好印象を持つ人は50%と半々で、前年から5ポイント下がりました。トランプ氏を「信頼していない」は74%で、13ポイント増えています。
2. トランプ米大統領への国際的評価や米国への信頼度が低下、シンクタンク調査(JETRO、2026年6月)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/e115c7545f618566.html
「米国は信頼できるパートナーか」で、日本は2022年から17ポイント下がりました。関税への不支持が77%など、貿易や企業活動に直結する項目が日本語でまとまっています。
3. アメリカへの好感度が中国下回る、日本含む36か国・地域調査(読売新聞、livedoorニュース、2026年7月16日)
https://news.livedoor.com/article/detail/31839546/
米中の好感度が20か国の中央値で逆転した点を、日本の立場から読めます。米国が中国を上回る9か国に日本が入る一方、日本は中国への好感度が最も低い国でした。
4. Trump Gets Negative Reviews Internationally as Fewer Say U.S. Is a Reliable Partner(Pew、2026年6月23日)
Trump Gets Negative Reviews Internationally as Fewer Say U.S. Is a Reliable Partner
今回の調査の本体で、英語です。数字の出典として最も信頼でき、36か国の比較やカナダの83%から35%への急落、ドイツの数値などの根拠が載っています。
5. *nternational views of the U.S. and its president are increasingly correlated(Pew、2026年8月28日)
International views of the U.S. and its president are increasingly correlated
「一過性か構造的か」を考える材料です。人々が米国と大統領を「ひとまとめ」で評価するようになったという分析で、日本のデータも含まれています(2024年は好感度70%・大統領への信頼54%、2026年は50%・25%)。








