ヒスバ

社会福祉。

ヒスバとは、広義には、すべてのイスラーム教徒に義務として課せられる「善を勧め、悪を禁じること」を意味する。しかし、歴史文献に出てくるヒスバは、そのほとんどが市場での公正な取引の監視という文脈で使われている。このことから、いかにイスラーム世界が市場経済を基本とした社会であったかをうかがい知ることができる。

市場取引を含む社会の公共秩序を監視するのがムフタシブ(社会監督官)で、その仕事を職種ごとに規定した便覧が「ヒスバの書」である。

参考文献:
「イスラムの経済思想」加藤博 『経済思想11 非西欧圏の経済学―土着・伝統的経済思想とその変容』  八木紀一郎編(日本経済評論社、2008年)
統治の諸規則』  アル=マーワルディー 湯川武訳(慶應義塾大学出版会、2006年)

■関連知識カード/章説明他:
正義と福祉
「経営」を意味するタドビール


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


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