ヒスバとは、広義には、すべてのイスラーム教徒に義務として課せられる「善を勧め、悪を禁じること」を意味する。
しかし、歴史文献に出てくるヒスバは、そのほとんどが市場での公正な取引の監視という文脈で使われている。
「善を勧め、悪を禁じること」を意味する言葉がもっぱら市場での取引に関して使われていること自体が、いかにイスラームが商売に親和的であるかを示している。
参考文献:
『文明としてのイスラム―多元的社会叙述の試み』 第6章:宗教・第2節:商人文化としてのイスラム 加藤博(東京大学出版会、1995年)
『統治の諸規則』 アル=マーワルディー 湯川武訳(慶應義塾大学出版会、2006年)
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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