アドル/アダーラ その2

正義、公正。

ただしコーランにおいてこの語は、償いの意義も含む。イスラームにおける正義とは、すなわち公正、公平である。そしてムスリムにとってのアドル/アダーラとは、まず何よりも神の正義である。* 

そしてこの神の正義はイスラームの統治理念や統治の正当性を担保する概念ともなった。信徒の共同体であるウンマは、同時に「神の共同体」でもあるからだ。 

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第二部第5章:統治観  加藤博(書籍工房早山、2010年)
「イスラムの経済思想」加藤博 『経済思想11 非西欧圏の経済学―土着・伝統的経済思想とその変容』   八木紀一郎編(日本経済評論社、2008年)
イスラーム政治論 シャリ-アによる統治』  イブン・タイミ-ヤ 湯川武・中田考訳(日本サウディアラビア協会、1991年)

* 「まこと、アッラーは、正義(アドル)と善行とを命じ、近親に惜しみなく与えることを命じ、全てけがらわしいこと、いとうべきこと、傲慢な言行などを禁じ給う。(『コーラン』16章)」


 

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