近代資本主義における中心と周縁

労働力や原材料といった生産要素の価格の違いを利用してお金儲けをする産業資本主義は、近代以降の欧米諸国の主たる富の獲得手段としてその急速な経済成長を支えてきた。その背景には、欧米諸国のアジア・アフリカ地域への進出と植民地化の歴史がある。

欧米諸国は、自国よりもはるかに低廉な労働力や原材料を植民地で調達することで、その違いから莫大な富を獲得したのである。アメリカの社会学者のイマニュエル・ウォーラーステイン(1930~2019)は、近代資本主義は、それが中心(欧米)による周縁(植民地)の収奪によって存立・成長していることを世界システム論の観点から論じている。

参考文献:
新版 史的システムとしての資本主義』  I・ウォーラーステイン 川北稔訳(岩波書店、1997年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.3 基本概念・基礎用語編』【基本用語】  加藤博(詩想舎、2020年)

□関連知識カード:
 世界システム論

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



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