言語の起源をめぐる二つの仮説

ノーム・チョムスキーは、「生成文法」という、言語の獲得を可能にする生得的なシステムが人間には備わっている仮説を立てた。

その起源については、言葉がいくつかの意味をもつ単語と文法から始まったという説(デレク・ビッカートン)と、音楽のような全体的であいまいなメッセージが先にあって、それが分節化されて単語が生まれ文になったとする説(アリソン・レイ)がある。I):言語の起源についてはなお議論が続いているが、いずれにせよ「言語を持たなかったネアンデルタール人は象徴的思考をすることができず、自然界の事象を人為的に解釈して、操作しやすいようにつくりかえることができなかった。その能力の差が、サピエンスとの共存に終止符を打つ原因になったと思われる。(『家族進化論』第六章・第一節 ホモ・サピエンスの登場)」[編集部]


『歌うネアンデルタール——音楽と言語から見るヒトの進化』  スティーヴン・ミズン 熊谷淳子訳(早川書房、二〇〇六年)原著二〇〇五年

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I. :言語の起源についてはなお議論が続いているが、いずれにせよ「言語を持たなかったネアンデルタール人は象徴的思考をすることができず、自然界の事象を人為的に解釈して、操作しやすいようにつくりかえることができなかった。その能力の差が、サピエンスとの共存に終止符を打つ原因になったと思われる。(『家族進化論』第六章・第一節 ホモ・サピエンスの登場)」[編集部]