ザカートへの再注目

ムスリムの義務であるザカート(喜捨)は、近代以前のイスラーム帝国では、税制の1つとして国家財政に組み込まれ、国家による社会福祉サービスの原資として活用されていた。近代国家の登場により、イスラーム世界でも近代的な税制が整備されていくと、ザカートの税制上の役割は失われ、その実践は信仰上の義務として敬虔なムスリムによって受け継がれてきた。

しかし、近年、経済格差の解消や国家による社会福祉機能を補完する存在としてワクフと並んで近年再び注目を集めるようになり、イスラーム世界各地でザカート制度の多元的な再生が見られ始めている。

参考文献:
初期イスラーム国家の研究』  嶋田襄平(中央大学出版部、1996年)

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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