投機やギャンブル(ガラル)の禁止

イスラーム経済哲学の3つめの特徴は、投機やギャンブルの禁止である。これらはガラルと呼ばれる。

『クルアーン』には「賭矢は大きな罪であるが、人間のために多少の益もある。だがその罪は、益よりも大である。」(第2章第219節)とある。

賭矢は、西暦7世紀のアラビア半島で流行っていたくじ引きゲームである。ガラルの禁止は、人間の努力ではなく、運不運という不確実性によってもうけの量が変わってしまうことを人々に戒めている。保険、デリバティブ(金融派生取引)は、このガラルの禁止に抵触する。

参考文献:
現代イスラーム金融論』第6章:偶然を飼い馴らす―ガラル概念と不確実性  長岡慎介(名古屋大学出版会、2011年)
日亜対訳・注解 聖クルアーン(改訂版)』  日本ムスリム協会訳(日本ムスリム協会、1982年)

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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