現代イスラーム経済の存立構造

ワクフやザカートの再生は、現代世界におけるイスラーム経済の実践の中でどのように位置づけることができるだろうか。イスラーム経済は、当初は資本主義を忌避する敬虔なムスリムを対象としたニッチ市場に入り込むことで実践のスタートを切った。その後、さらなる発展を狙って資本主義との熾烈な競争を展開していった。資本主義から市場を奪うために、ときには収益性を過度に重視して、イスラーム経済の実践が本来依拠すべきイスラームの経済哲学を置き去りにしてしまうこともあった。

参考文献:
現代イスラーム金融論』第3章:近代イスラーム経済学の展開  長岡慎介(名古屋大学出版会、2011年)

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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