シャーリア、カーヌーン、ウルフ

法理論的には、聖法シャリーアは絶対的なものであったが、こと実際の法運用のレベルにおいては、シャリーア、そしてカーヌーン(行政法)とウルフ(慣習法)、この三つの規範群は、その法源の違いを反映した、それぞれ独自の独立した法領域と法秩序をもっていた。

つまり、歴史的には、神の意志を法源とするシャリーアが宗教、人格、家族の法領域を、国家の意図を法源とするカーヌーンが政治、行政の法領域を、社会慣行を法源とするウルフが経済の法領域を担ったのである。

参考文献:
イスラム世界論―トリックスターとしての神』 第二部第3章第2節:イスラム法とイスラム保体系  加藤博(東京大学出版会、2002年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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