ウンマ(共同体)におけるマスラハ(公共の利益)の実現

オスマン帝国は、必要に応じて、公定価格を設定した。しかし、それを統計価格と言うことは出来ない。

生産地での販売価格は登録され、この市場価格とあまりにかけ離れた公定価格は、市場において受け入れられなかったからである。

また、公定価格は本位通貨の銀貨の悪鋳によって度重なる修正を必要としたため、その実施は容易ではなかった。

つまり、国家の市場への介入は限定的であり、その目的は、価格を統制するというよりは、イスラーム信徒共同体(ウンマ)における公共の利益(マスラハ)を実現することにあった。

参考文献:
イスラームの国家・社会・法』  H.ガーバー 黒田壽郎訳(藤原書店、1996年)

■関連知識カード/章説明他:
マスラハ

 


★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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