制度としての法を考える際に肝要なのは、イスラーム法(シャリーア)とイスラーム法体系とを区別することである。イスラーム法(シャリーア)とは、啓示(コーラン:神の言葉)に基づく普遍的な規範群であるのに対して、イスラーム法体系とは、シャリーアを核としながらも、法域を異にするほかの規範群をそのなかに取り込んだ法システムである。(第一巻第4章)

イスラーム法は、イスラームの社会ビジョンの主要源泉の一つである。これに対して、イスラーム法体系は、イスラームの社会ビジョンを実現するための「制度」であり、イスラーム社会の秩序形成において根幹的な役割を担った「制度」である。

参考文献:
文明としてのイスラム―多元的社会叙述の試み』 第5章:法  加藤博(東京大学出版会、1995年)

□参照知識カード:
イスラームで個の欲望と共同体の福祉を橋渡すのは何か 第一巻第4章


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.3 基本概念・基礎用語編』を構成している「知識カード」の一枚です。


◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック