ムダーラバの普遍性(その2)

イスラーム登場以後、ムダーラバとして定式化された儲けと損失を分け合う手法は、地中海を北に渡り、イタリアではコンメンダと呼ばれ広く用いられた。

さらに、アントワープ、アムステルダム、ロンドンとヨーロッパの主要な金融センターで洗練され、現在の株式にもとづいたエクイティ・ファイナンスへと発展したのである。

このようにムダーラバのような儲けと損失を分け合うしくみは、現代のイスラーム金融や近代以前のイスラーム世界に限らず、あらゆる時代・地域で見ることのできる普遍的な金融手法なのである。

参考文献:
株式会社発生史論』(大塚久雄著作集1)  大塚久雄(岩波書店、1985年)
A. L. Udovitch “At the Origins of the Western Commenda: Islam, Israel, Byzantium?,” Speculum 37(1), pp. 198-207, 1964. https://www.jstor.org/stable/2849948?seq=1

□関連知識カード:
 エクイティ・ファイナンス

 

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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