イスラーム法体系を構成する三つの規範群

イスラーム法体系とは、シャリ-アを核としながらも、法源と法域を異にするカーヌーン(行政法)とウルフ(慣習法)の二つの規範群をそのなかに取り込んだ法体系のことである。

法理論のレベルでは、カーヌーンもウルフも、シャリーアから独立した、あるいはシャリーアと対比し得る法体系とは見なされておらず、その意味では、聖法で普遍法たるシャリーアの下位の規範体系であった。

しかし、こうした法学上の定義はそれとして、こと法運用のレベルにおいては、この三つの規範群が、その法源の違いを反映した、それぞれ独自の独立した法領域と法秩序をもっていた。

参考文献:
イスラム世界論―トリックスターとしての神』 第二部第3章第2節:イスラム法とイスラム法体系  加藤博(東京大学出版会、2002年)


 

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