商業・宗教複合体としてのマディーナ

イスラーム世界の都市には必ずマディーナという都市空間がある。マディーナは都市を意味するアラビア語であるが、狭くは都市の中心に位置し商業施設が密集する商業区を意味した。

この商業区の大部分を占めるのは、商館と小さな店舗からなる市場(スーク、バーザール)と、モスク(礼拝所)やマドラサ(高等教育機関)などの宗教施設、そしてコーヒーショップや銭湯などからなる公共施設である。

イスラーム世界の都市の景観を特徴づけるのは、この商業施設と宗教・公共施設の複合体としてのマディーナであるが、それはワクフの設定と結びついていた。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第5章:ワクフ(寄進)制度にみるイスラム市場社会  加藤博(NTT出版、2005年)
商人たちの共和国―世界最古のスーク、アレッポ』  黒田美代子(藤原書店、1995年)

関連知識カード/章説明他: マドラサ


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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