貨幣制度の再編

マムルーク朝を崩壊させた14世紀末から15世紀初頭にかけての経済危機の大きな原因は、卑金属貨幣の銅貨の市場での氾濫による貨幣制度の混乱であった。オスマン帝国の支配は、貨幣史においても一つの画期となった。

混乱した貨幣事情の収拾が計られ、貨幣制度の再編が試みられた。その結果、通貨の基本単位となったのは小額の銀貨であったが、貴金属に基づくイスラーム貨幣制度の伝統は維持された。それは、オスマン帝国が歴代のイスラーム王朝と同じく、市場経済における貨幣の役割を理解していたからである。

参考文献:
Ş. Pamuk A Monetary History of the Ottoman Empire, Cambridge University Press, Cambridge , 2000


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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