リバー禁止における貨幣取引と実物取引の峻別

イスラーム法学者たちは、リバーの禁止に抵触する条件を具体的な経済取引に適用しようとしたとき、取引を2つの種類に峻別した。

1つは、お金どうしを交換する取引(貨幣取引)、もう1つは商品やサービスを売買する取引(実物取引)である。こうした貨幣取引と実物取引を明確に峻別する考え方は、イスラーム独自のものである。

その上で、イスラーム法学者たちは、貨幣取引についてはリバー禁止の不等価取引と信用取引の両方の条件が適用され、実物取引についてはどちらの条件も適用されないという法規定を定めたのである。

参考文献:
Nabil A. Saleh Unlawful Gain and Legitimate Profit in Islamic Law: Riba, Gharar and Islamic Banking. Cambridge: Cambridge University Press, 1986
現代イスラーム金融論』第2章:リバー論の系譜  長岡慎介(名古屋大学出版会、2011年)

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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