イスラーム文明の特徴(1)神と人間の関係

イスラーム文明の特徴の1つめは、イスラーム特有の個人主義である。

ムスリムは、なんらの仲介者をはさむことなく1人ひとりがそれぞれ神様と契約を結ぶ(直接性)。そして、自ら(だけ)が来世で救われるために、この世での契約の履行に励むのである。『クルアーン』に「(相手からの)見返りを期待して施してはならない」(第74章第6節)とあるように、喜捨などの人助けも自らの救いのために行われる利己的な行為なのである。

参考文献:
イスラームとは何か―その宗教・社会・文化(講談社現代新書)』第2章:啓典と教義  小杉泰(講談社、1994年)
日亜対訳・注解 聖クルアーン(改訂版)』  日本ムスリム協会訳(日本ムスリム協会、1982年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』第3章第1節:森羅万象は唯一神アッラーの被造物  加藤博(詩想舎、2020年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』第3章第3節:イスラーム世界と契約  加藤博(詩想舎、2020年)

□関連知識カード:
 イスラーム教徒は「神の僕」である
 神の正義としてのアドル
 神との一対一の契約

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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