イスラーム教徒は「神の僕」である

イスラームは神の至高性を強調するがゆえに、キリスト教の教会や仏教の寺のような、神と一般信徒との間を仲介する宗教的権威を持たない。個々の信徒は直接に神と結び付けられている。その関係は、神に対して絶対的な服従を誓うという「契約」関係である。

イスラームというアラビア語自体が「服従」、「帰依」の意味をもち、何に対しての服従、帰依であるかというと、言うまでもなく神に対してである。

イスラーム教徒の存在はこの神との「契約」に根拠をもつ。人間のこの世での生き様も、神のみが評価を下せる。すなわち、神による最後の審判時に、正しい生涯を送り、神との契約を履行した者には天国が、正しくない生涯を送り、神との契約に従わなかった者には地獄が待っている。

参考文献:
イスラーム文化―その根柢にあるもの(岩波文庫)』  井筒俊彦(岩波書店、1991年)

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イスラーム世界はネットワ-ク社会


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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