「法人」概念の希薄さと短期的な契約観

長期的な経済運営を実現するためには、資本の蓄積を必要とする。ところが、イスラーム世界では、信用を血の結びつきに求める傾向が強く、「法人」概念が未発達である。

また、リバー(利子)を忌避し、リスクを回避のため短期的な契約が好まれ、長期的な契約が嫌われたところから、巨大な信用創造を可能にした株式会社が未発達であった(第一巻『イスラーム経済の基本構造(理論編)』を参照)。

参考文献:
「イスラーム市場社会の歴史的構造」加藤博 『比較史のアジア 所有・契約・市場・公正 (イスラーム地域研究叢書)』  三浦徹ほか編(東京大学出版会、2004年)
「合意と契約:中国近世における「契約」を手掛かりに」寺田浩明 『比較史のアジア 所有・契約・市場・公正 (イスラーム地域研究叢書)』  三浦徹ほか編(東京大学出版会、2004年)

□参照知識カード:
資本と労働の生産手段は神の所有物
イスラーム事業経営における利得と倫理
イスラーム社会は「交換」を基本とした社会
アダム・スミスの経済論との差異


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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