取引によって生じる利得と利子との違い

それでは、利息を取ることを禁じられたうえで許された商売とは、どのような商売なのであろうか。言葉を換えれば、イスラームの観点からみて、取引によって生じる利得と利子との違いはどこにあるのであろうか。

通常は、先にみたように、この違いを労働の対価であるか否かと考える。利得は労働の報酬として許され、利子は不労所得として許されないというのである。しかし、現実の商行為において、労働の有無によって、利得と利子を原理的に区別することは難しい。

事実、リバーが利子一般と解されている現代でも、さまざまな法解釈や法テクニックを使って、利子に相当する利益は取得されている。この事実はどう説明できるであろうか。

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第一部第9章:イスラム金融の文明史的意味  加藤博(書籍工房早山、2010年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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