ムダーラバ(事業パートナーシップ)契約

ムダーラバは、近代以前のイスラーム世界で広く用いられた手法である。この手法は、資金力のある地元の商人が、航海商人に資金を託し、舶来の商品を市場で売った儲けを2人で分け合うというものである。

儲けが多くなるほど、2人が手にする取り分は多くなる。万一、儲けが出なかったり、船が難破して一文無しになってしまったりした場合は、航海商人が資金を返す必要はない。そのため、地元の商人は商売が成功しそうな航海商人を慎重に見定める必要があった。

参考文献:
「ムスリム商人の活動」佐藤圭一郎 『岩波講座世界歴史 第8 (中世 第2 西アジア世界)』(岩波書店、1969年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』第6章第3節:イスラーム経済と不確実性  加藤博(詩想舎、2020年)

□関連知識カード:
 イスラーム事業経営における利得と倫理

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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