互酬とは何か

互酬とは、相互的で対等なモノやサービスの交換である。代表的なものが贈与である。例えば、結婚式の祝儀や葬式の香典は、その場では一方的なお金の贈与に見えるが、その後、贈り主側で結婚式や葬儀が行われた場合には、同じく祝儀や香典という形でお金が戻ってくる。このように互酬は、長い時間をかけた等価の交換になることが多い。子どものときに親戚からもらったお年玉を、大人になってその親戚の子どもにあげることで返すのも、長い時間をかけた互酬の1つである。

参考文献:
世界共和国へ―資本=ネーション=国家を超えて(岩波新書)』   柄谷行人(岩波書店、2006年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』第7章第5節:経済統合システムとしてのワクフ  加藤博(詩想舎、2020年)
イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.3 基本概念・基礎用語編』【基礎用語】  加藤博(詩想舎、2020年)

□関連知識カード:
 「互酬」を基本とした社会
 ブローデルの「全体史」
 物質文明
 三層の時間 その1
 三層の時間 その2

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



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