社会集団のマジック・ナンバー

 

 

前述したように、「社会脳仮説」によると、人類は集団規模が大きくなるにともない新皮質比を高め、脳容量を増大した。それを化石人類の脳容量に当てはめてみると、それぞれの時代の平均的な集団規模が算出できる。

二百万年前のホモ・ハビリスは五〇人程度、現代人は一五〇人程度である。面白いことに、食料生産を行わない現代の狩猟採集民のバンド(移動性の村)の平均規模は一五〇人で、これはマジックナンバーと呼ばれている。おそらく農耕牧畜を始める前まで、人間はこのくらいの規模の集団で暮らしていたと考えられる。



■参考文献
『ことばの起源——猿の毛づくろい、人のゴシップ』  ロビン・ダンバー 松浦俊輔・服部清美訳(青土社、一九九八年)原著一九九七年
 

『森の狩猟民——ムブティ・ピグミーの生活』  市川光雄(人文書院、一九八二年)

関連知識カード:なぜ大脳化が起きた?

 


『人類の社会性の進化(下)共感社会と家族の過去、現在、未来
(山極寿一・本郷峻)』

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★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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