人口の増大という間違った使命感

ロックは、『統治論』において、同時代のフィルマーの統治論を「彼の統治論はこの世界の人民を増やす道を示すものではない」と批判している。※I):『統治論』(柏書房、一九九七年) ただヒュームは「古代人口論」(『市民の国について(上)』(岩波文庫、一九五二年)所収)を書いてその誤りを正そうとしていたのではあっだが。

彼の時代、古代の人口の方が17世紀の人口よりも多く、人口が減少傾向にあるという認識があった。

ロックの認識の中にも、人口減少という課題があり、自己の統治論の正当性の根拠を、世界の人口増大につながる道を示すところにも求めていたのである。※II):『統治論』において、「都市の崩壊や一国の人口の減少や世界平和の乱れ」が「いつの時代も人類を悩ませてさた問題」であるとしている。


■参考文献
『市民の国について(上)』  デイヴィッド・ヒューム 原著一七四二年

『統治論』  ジョン・ロック 原著一六九〇年

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なぜ経済学は経済を救えないのか
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I. :『統治論』(柏書房、一九九七年) ただヒュームは「古代人口論」(『市民の国について(上)』(岩波文庫、一九五二年)所収)を書いてその誤りを正そうとしていたのではあっだが。
II. :『統治論』において、「都市の崩壊や一国の人口の減少や世界平和の乱れ」が「いつの時代も人類を悩ませてさた問題」であるとしている。