火の使用と脳の増大

最初はおそらく野火や火山の噴火の後に焼死した動物や焼けた根茎類を食べることから始まったのではないだろうか。火を用いることにより消化効率が向上し、でんぷん類などの毒性も消え、食物の種類が格段に広がることにつながった。

霊長類の臓器の重さの比率を見ると、ヒトは心臓、肝臓、腎臓の比率は他の霊長類と変わらないが、脳が大きく、代わりに胃腸が小さい。つまり、消化効率を高めたことがエネルギーの節約を通して脳の増大を生み出したというわけだ。


■参考文献
『家族進化論』第二章・第十六節 脳の増大と食の改変  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

 

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(上)「社会」の学としての霊長類学』を構成している「知識カード」の一枚です。

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