言葉は脳を大きくした原因ではなく、結果である

人間が言葉をしゃべっていた証拠は、せいぜい七万年ぐらい前にしか遡れない。南アフリカのブロンボス洞窟で見つかった骨に刻まれた模様が、人類に最初の象徴的表現とされているからだ。

現代人の脳容量はゴリラの脳の約三倍で、一四〇〇~一六〇〇CCある。ところが、人類の脳が大きくなり始めるのが二百万年前のホモ・ハビリスで、現代人並になるのが六十万年前のホモ・ハイデルベルゲンシスである。

脳が大きくなった結果として言葉がしゃべれるようになったのであって、言葉が脳を大きくしたわけではない。


■参考文献
『心の先史時代』  スティーヴン・ミズン 松浦俊輔・牧野美佐緒訳(青土社、一九九八年)原著一九九六年

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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