市場経済と関税

主流の経済学の理論からは、市場での自由な売買を阻害するものは最適な富の分配の実現を妨げるものとして排除しなければならないことになる。

その典型例は関税である。現在、日本では農業を保護するために、輸入農産物に高い関税をかけている。これによって、高コストであっても日本の農業を維持できるかもしれないが、その代わりに消費者は関税がないときと比べて高い代金を払って農産物を購入しなければならない。これは、本来、消費者に分配されるべき最適な富の量が関税の存在によって損なわれていることを意味している。

参考文献:
ゼミナール国際経済入門(改訂3版)』  伊藤元重(日本経済新聞社、2005年)
市場主義(日経ビジネス人文庫)』  伊藤元重(日本経済新聞出版、2000年)

この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



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